私は次の日、陽愛に聞いてみた。

「ねぇ、陽愛。
 正樹と付き合ってるの?」


「ん、まぁ・・・ね」


少し照れた感じに言う陽愛。



「陽愛」


「何?」


「陽愛はさ、海斗と正樹が親友なの、知ってるよね?」


「うん、知ってるよ?」

平然と答えた陽愛を見て、私の中の何かが切れた。



「じゃあさ、なんで正樹と付き合ったの?!
 しかも、海斗が陽愛に告ってすぐ!!!」


陽愛は驚いた顔を隠しきれてない様子だった。


「海斗がかわいそうだと思わないの!?」


「え・・・ちょ、未瑠・・・?」


「海斗の気持ちもちょっとは考えてよ・・・!!」


大声で、早口で言ってしまった。


それを聞きつけたのか、海斗と正樹がやってきた。



「お前ら、ケンカしてんの!?」


「え、いや・・・」


急に気まずい雰囲気に。


「ごめん、陽愛。
 陽愛の彼氏は陽愛が決めるんだよね」


私が口出しできることじゃない―・・・



「うん、あたしこそごめんね。
 もうちょっと人の気持ち考えて行動する!」


陽愛も笑顔で言ってくれた。


(よかった・・・!)




「なぁ未瑠、今日陽愛と言い合ってたのってさ、俺のこと?」


たまたま会った帰り道で、海斗は聞いてきた。



(・ε・)ムー


「違うもーん!
 このじーしきかじょー!!!!」



べーっと舌をだして、私は走った。



(陽愛が正樹と。私が海斗と、か・・・)



「未瑠!待てよ!」


後から海斗が追いかけてきた。



「何?」

「俺さ、昨日ちゃんと考えたんだけど・・・」


嫌な話?


「俺、やっぱりちゃんと未瑠のこと、好きだから。
 陽愛のことは、もうなんとも思ってないから」


「ほんとに?」


珍しく真剣な顔で海斗は頷いた。


「・・・信じていいの?」


「もちろん!」



(でも、‘やっぱり’ってことは、私のこと好きじゃなかったんだ)



この時気づいたんだ。


昨日、海斗が私に優しい優しい嘘をついたって。



「海斗」


「ん?」


「・・・ありがとう」



「何?なんのこと?
 変な奴」


少し吹き出している海斗。


「なによーー! 
 失礼しちゃうなー」



子供みたいな言い争いをしながら、私たちは帰った。