それから数分間歩いて、
漸く先輩が足を止めたのは
使われていない空き教室の前。
あれ、ここって鍵掛かってるハズ。
《ガラッ》
……あれ、掛かってないんだっけ。
「…っう、わぁ。」
扉が開いた直後、
掴まれている右手首がグン、と引かれて
あたしはその空き教室に
先輩より先に入ってしまった。
「…なんなん…。」
何なんですか、と聞こうとしたら。
《ガチャ》
え、何その音。
扉が閉まる音とは別に、
明らかに施錠したような音がした。
えー、鍵やっぱり付いてたの。
「…さて。」
「……。」
少し埃っぽいこの空き教室に、
サクト先輩の声が響いた。
「…ラル。」
「………。」
「何で連れて来られたか、分かる?」
「………………全く。」
分かるわけが無い。
「…とゆうか、会長、さっき
生徒会室って言ってませんでしたか?」
「あぁ、アレ、嘘だし。」
嘘ですか。
まぁ、大体予想は付いてましたけどね。
「…なぁ、ラル。」
「……なんでしょうか。」
「コレ、何?」
コレ、と言ってサクト先輩が
あたしに見せたのは
この間茶封筒に入れて
サクト先輩に渡した
あたしの退部届けだった。
あぁ…やっぱりそれか。
「…退部届け、ですね。」
あの時のあたしの、
あたし自身を守るための決断。
その証とも、いえるもの。
「そう。退部届け。」
……て、聞かなくても
知ってるでしょうが。
どうしてわざわざ聞いて来たの。
「ラル、バスケ部辞めたいのか?」


