〔side朔杜〕


「なぁー、サクー。」


「…。」


「サクー。サクってばぁー。」


「…。」


「…ラルにベタ惚れなサクたーん。」


「………テメェ。」


「いやん。そんな目で見ないでー。

レム君かなしーい。」


「……なぁレム。紙辞書と電子辞書、

どっちの角が硬くて痛いと思う?」


「すみませんごめんなさい

もう言いませんから許して下さい。」

……無駄な労力を使わずに済んだ。


「だってサクさぁ。

最近元気ねーじゃんよー。」


「は?」

レムは、俺が座っている席の

前の席に後ろ向きで座っている。


本来、そこはレムの席ではないが

放課後であるため、レムが座っていても

誰にも支障はなかった。


「今日だって、

久々の部活無しの放課後なのによー。

サクってば教室に1人寂しく残って

部活の予定立ててるしー。」


「…部長が部活の予定立てるのは

自然なことだし、それを

どこでやろうと俺の勝手だろうが。」

てか、今までも普通に

放課後教室で作ってたことあるっての。


「えー…そうだっけかぁ。」

レムの軽い口調に、

イライラと何かが蠢いている。