姿は見えないのに…
声が聞こえているだけなのに…
どうしてこんなに心臓が疼くの。
「あ、阿賀君。」
「はい。」
自分から散々先輩のことを
避けて来たくせに、
普通にサクト先輩と会話している先生が
羨ましくて仕方が無い。
………本当に、馬鹿みたいだ。
「この後、授業に戻る?」
「?はい。その予定ですけど。」
「あー。そうかぁ。
じゃあお願いなんだけど…。
私、教頭先生に渡す書類忘れてて…。
渡して来る間、ここに居てくれない?」
……先生。何をおっしゃる。
「え、俺の授業に関しては
別に構いませんけど…
保健室から誰も居なくなったら
何か不味いんですか?」
「一応、ベッドで休んでる生徒が居るし、
もしも生徒が起きて、
具合が悪化してたとしたら、
1人にさせといたらマズイでしょ?」
「あ、休んでる人が居るんですか。」
あ、何だか嫌な予感。
「えぇ。ついさっきね。それに、
教頭先生ちょーっとお話が長いから
すぐに戻ってこれそうもなくて。」
この流れは…まさか。
「あー…分かりました。
先生が帰ってくるか、
休んでる生徒が起きるか、
そのどっちかまで
俺がここに居ればいいんですね。」
「ありがとう!ごめんね!
この授業が終わったら絶対来れるの。
だから、この時間だけお願いします。」
「分かりました。」
………まさかのサクト先輩が
ここに居座る感じですか。


