次の日私は昨日の龍輝の告白が気になってあまり眠れなかった。そのせいでいつもより早めに起きてしまった。

「お母さんおはよー。朝ごはんまだー?」

「あら、あんたがゾ分から起きるなんて珍しいわね。どっか悪い?」

 お母さんは心配そうに私の顔を見た。

「大丈夫だよ。ただ昨日あんまり眠れなかっただけだから」

「そう。それならいいけど。朝ごはん今から作るからちょっと待っててね」

「はぁい」

 お母さんに心配かけちゃったなぁ。なんか悪いことしちゃったかも。でも、眠れなかったのはあの変態のせいなのに。あ、今日も勉強教えてもらうのか。
 私の学校って3年生は毎月実力テストがある。しかも今月は2回もテストがある、最悪な月だ。

「ふぅ。こんなんで毎日大丈夫かな…」

「どうしたの。ため息なんかついて。はい、トーストと目玉焼き。ちゃんと食べてしっかり勉強してきなさいよ」

 お母さんが朝ごはんを置きながら私に笑顔で言った。お母さんの笑顔はいつも優しい。なんか元気が出てきた。心配かけないようにしなくちゃ!

 朝ごはんを食べ終え、明日夏と一緒に登校しているとき、昨日の何があったか話した。

「えぇーー!そんなことがあったのー!?」

 明日夏が大声で叫んだため、他の生徒たちの注目の的になってしまった。

「ちょっと明日夏!声が大きいよ」

 焦りながら言う私を見て、明日夏はハッとして口を押さえた。

「ごめんごめん。まさか女嫌いの龍輝が『俺の女になれ』だなんて大胆な告白するとは思わなかったからさ」

 今度は笑いながらそう言った。確かに私も龍輝がそんなことを言うとは思いもしなかったけど、なぜか私は拒めなかった。嫌ならちゃんと嫌って言えるはずだし、他の人に勉強を教えてもらうことだってできたはずなのに…。なんでだろう…。どうしても龍輝の笑った顔が頭から離れない。

「うーん…。わかんない!!」

「なにがー?」

「龍輝に迫られたとき不思議な感覚になったんだよねー。胸がドキっとして体が熱くなったの。」

「それってさぁ…『恋』なんじゃない?」

 顔をニヤつかせながら私に聞いてきた明日夏。

「そんなわけないじゃん!昨日まともに話したのが初めてだし。まだよくわかんないから」

 でも龍輝のことは嫌いじゃない。努力しているところは逆に好きだ。私も見習わなきゃって思う。