「あ!そんなことより放課後龍輝に勉強教えてもらうんだった!じゃ、明日夏また明日ねー」

 私はわざと焦ってるように言ってその場から立ち去ろうとした。

「瑛莉逃げたな。龍輝と勉強頑張りなよ」

 ふう。明日夏は相変わらず毒舌なんだから。ちょっとは優しくしてくれてもいいのに。あっ、早く行かなきゃ龍輝を待たせちゃう!急いで旧校舎に向かって走った。

「はぁ…はぁ…。龍輝もう来てるかな」

 そっと扉を開けてみると、すでに龍輝が机に座って待っていた。扉が開いたことに気付いた龍輝はこっちに歩み寄って来た。

「遅い…。10分も待ったんだけど?」

 龍輝とはまともに話したことがなくてよくわかんなかったけど、近くで見るとすごくカッコいい。二重で大きな目をしていて鼻筋の通ったきれいな鼻。勉強するときだけかけているという黒ぶちのメガネがよく似合っている。

「あっ…ゴメン。ちょっと明日夏と話してたら遅れちゃって」

 龍輝の顔に見とれてた。まさかこんなにカッコいいとは思わなかった。女子にモテる理由がわかる。

「ふーん。今回は初日だから許してやるよ。これからは遅刻すんなよ」

 あれ…。龍輝ってこんなしゃべり方だっけ?チャットではもっと優しい口調だった気がするけど、私の気のせいかな。

「わ、わかった。じゃあ早速勉強教えてもらいたいんだけど…」

 私は戸惑いながらも約束した通りに勉強を教えてもらうことにしたけど。龍輝は予想外なことを口にした。

「教えてあげる代わりに瑛莉は何してくれんの?」

「何って言われても…。タダで教えてくれるんじゃないの?」

 すると龍輝はしらっとした顔で言った。

「んなワケねぇだろ。交換条件に決まってる。俺がお前に勉強教えてやるんだからお前も俺に何かするのは当然だろ」

 何かしろって言われても、私は何も持ってないし…。どうしようかと迷っていた。

「思いつかないなら俺がお願いしていい?」

 特に思いつかなかったから、私は龍輝に決めさせることにした。

「うん。龍輝が決めていいよ。私はなんでもいいから」

 私がそう言った瞬間、龍輝は怪しい笑みを浮かべた。

「へぇー…。なんでもいいんだ?じゃあ…」

 私はドキドキしながら次の言葉を待った。次の瞬間龍輝は驚くことを言い出した。