しかし、一つだけ謎なことがあった。
彼は滅多に学校に来ないのだ。
いや、来たとしても何か不自然だった。それが何かは茜はまだ知らない。
最も彼は学校に来た時は、いつも仲間に囲まれて幸せそうに笑っているので、そんな深刻な問題ではないのだろう、と茜は思っていた。
右京を囲んでいる彼らに、直接聞けば良いのだろうが、茜にはそれが出来なかった。
右京と話してみたい気持ちもあるが、茜には遠くからそっと見ているくらいで丁度良かった。
そんなことを考えていると、前方に右京とその母親らしき人物が公園にやってきた。
茜はとっさに木陰に、ナナを連れて隠れた。
何故だか今の自分を見られたくなかったのだ。
彼らは仲良さそうに池のほとりの方へ歩いて行った。
ーー‥これで今日の右京を見れる時間は終わった。
茜は本当にこれだけで良かったのだ。
少し、ストーカーチックかもしれないが、一目見れる、それだけで満足だった。
「ナナ、帰ろう」
蝶々に夢中になっているナナに声をかけ、茜とナナはもと来た道を戻って行った。

