それから茜とナナはいつもの散歩コースを歩き始める。
ナナはゴールデンレトリバーなので、毎日散歩してやらないといけない。最も、茜は散歩を好んでいるので、何ら問題はないのだが。
しばらく歩くと茜とナナは、いつもの場所に出る。
そこで茜はようやく大切なモノに触れる。
それは、カメラだった。
茜は写真を撮ることが大好きなのだ。写真を撮っている時は、とても幸せで時間がたつのを忘れてしまうほどだ。
ナナはいつもの場所ーー公園で、のんびり寝転がる。ナナもまたこの時間が大好きなのだ。
茜はカメラを取り出すと、思い思いにシャッターをきる。
このカメラは、茜が小学5年生のころに、叔父に貰ったモノだった。今では、叔父は他界してしまったので、これは形見でもある。
茜にとってこのカメラは大切な宝物なのだ。
カメラを通して、茜の世界を映していく。
茜は時計をみる。
16時35分‥。そろそろ彼が来るハズだ。
彼は、山下 右京。
いつもこの時間帯に母親らしき人物とここを訪れている。
そして、彼は、茜と同じ高校のクラスメートだ。しかし、茜はこの3つ以外彼について何も知らない。だが、彼に淡い恋心を抱いているのも確かだ。もっともそれに茜自身はあまり気付いていなさそうだが。

