「一時的に預かっていただくだけなんですからね、絶対わたくしのもとに帰ってきてね、エーミール」

「は、はい、お母さま」

その姿はどこからどう見ても女性そのものだった。

「まあ、先方にはお前が男であることも伝えてあるのだから、間違いは無いだろう
だがしかし、何か間違いを起こされそうになったら真っ先に帰って来るのだぞ!」

間違いって何ですか、と聞こうとしたが、父の血走った目を見て、止めた。

型を掴む手もガクガクと震えているのだ、聞かない方が無難だろう。