「え、進路?」


「そうだ」


「 ……うーん……自宅警備?」



右側に首を傾げる。
祥吾は呆れたような顔でこちらを見て来た。



「……お前なぁ」



祥吾が右手を顔に当ててため息を吐く。
純粋に俺のことを心配してくれていることが嬉しかった。



「じょーだんだよ」


「……お気楽だな」



祥吾はそう言ってから、俺の頭をがしがしと乱雑に撫でた。
心臓がバクバクと音を鳴らす。
ずっとこうしててほしい、そう思った。



「そろそろ帰るか?」



時計に目をやった祥吾はそう口走る。
外は真っ赤に染まっていてもっと綺麗だった。



「そうだねー」



空気を読まない時間を少しだけ妬みながら席をたった。


暗くなる前に帰りたい。
だって暗いと祥吾の顔がよく見えないから。


俺らはのろのろと教室を後にした。