「で、なんだよ」
真顔で言う祥吾がまた愛しくて、ただ切なくて。
高3の秋だって言うのに切なくて。
――痛い。
俺は、祥吾の机にだらりと上半身を乗せた。
イスに座っているのだが、背もたれの木板がちょうどよい支えになっている。
「進路決めたー?」
「あぁ、決めた」
祥吾は俺の髪をつつきながらそう言った。
「どうするんのー?」
「公務員になりたい。だから……」
「だから?」
「大学進学かな」
「じゃー俺も同じ所が良い!」
俺がいい終わると、祥吾が勢いよく机を叩き出した。
鋭い音が教室に響く。
寝そべっていた俺の耳にも響く。


