【叶汰side】

桜散る、4月。
僕、春日野叶汰、16歳。
楓中2年。
今年の目標は《彼氏を作る》こと。

僕の友達はみんな彼氏がいて
「今日、一緒にかえろー」
って言っても
「ごめん・・・今日はちょっと」
って断られる。
ひどい時は一緒に帰る子がいないほど。
それで一人で寂しくトボトボと帰っていた。

でも、もうそんなのはいや。
携帯も暇になってくるし・・・

充実した学校生活をおくる!!!

これを目標にすることにした。

今日は入学式。
「かなぁおはよー」
美依ちゃん。
「おはよー」
悠ちゃん。
「おはよー」
琉宇ちゃん。
「みんなおはよー」

「美依ぃ!」
「あっ!かずくん」
「どもっ」
この人は三浦和真。
本田美依ちゃんの彼氏さん。
「かずっ遅い!」
「わりぃ・・・寝坊」
「もうっ!じゃねーみ・ん・なっ、又あとでー」
「うんっ」

毎朝ブランコ公園に集合するけど
なぜか恋人で登校になる。

ブランコ公園から学校までは歩いて20分。
その距離を僕はひとりでトボトボと寂しく行くのである。
「はぁ・・・」
ふとため息をついた。

「ちょっ!かなっため息すると幸せにげるよ?」
「る、るうちゃん…」
「かなはため息しすぎだよ。今まで何回幸せにげってった?」

「えっと・・・幸せ来なかったと思う。」
るうちゃんは天然さん。
おちゃめでしぐさ一つ一つが可愛く見えるから僕たのグループのマスコットキャラ的存在。

「もうっ!かなはため息のしすぎで幸せがわからなくなっちゃってる・・・幸せっていうのは彼氏がいておいしいご飯が食べれて・・・」

「うんっ、わかった。ため息しないようにする」
でも一つだけ欠点が。
それは・・・しゃべりすぎること。
しゃべりだすと止まらなくなる。
「よしっわかったならOK」

結局るうちゃんは優灯くんと。
悠ちゃんは一騎くんと。

残ったのはいつもの僕だけ。