「アヤメが、自分のことをいらないって

必要ないって言うならさ。

あたしがアヤメを必要とするから。」

ラルは、あたしに

ゆっくりと近づいて来る。


ゆったり歩くその姿に

後退りをしようにも、

あたしの足は全く動かない。


「ねぇ、アヤメ?もう一回言うよ?」

ラルは、あたしの手を優しく取った。


「一緒にやろうよ。バスケ。」


「……………っ…。」

初めてかもしれない。


初めて、だよ。きっと。

こんなに。こんなに、嬉しいのは。

こんなに、

泣きたいくらいに胸が暖かいのは。


「……ホント、に?」

信じられなくて、もう一度聞いた。


ラルは、ふわりと微笑んだ。


「うん。ホント。」

凄く綺麗だった。


この瞬間。

ラルはあたしにとって

かけがえのない存在になったんだ。