《パンッ!》

ビクッとした。

音のした方を向くと、

ライ君が手を合わせていた。


「よし、じゃあアヤメ?

行こうぜっ♪」


「えっ。」

突然、満面の笑みを浮かべて

あたしに話し掛けてきた。


その幼いとはいえ、極上の顔で

満面の笑みを見せられて

思わず見とれてしまいそうだった。


「ちょっとライ。

まだアヤメになんにも言ってないよ。」


「気にすんなっ!!後で話す!」


「……もう良いよ。

アヤメ、これから出掛けない?

病み上がりで悪いけど。」

出掛ける??


「え、あたしも一緒?」


「うん。服なら貸すからさ。

連れていきたい所があるんだ。」


「連れていきたい…あたしを?」


「うん。」

ライとライ君の目は、真剣だった。


「………分かった。」

どうせ行く所も無いし、いいや。


どこに行っても同じ。

あたしには、居場所が無い。