「…ら、ラル…に、ライ君…。」


「ん?何。体辛い?」

少し心配した様子を見せるラル。


「あれ。俺も呼び捨てで良いよ。」

少しおどけた感じのライ君。


2人は、顔の作りがそっくりで。

どちらも、とても綺麗な顔。


「あたし、ね?嘘ついた。」


「「え?」」

そして、どちらも、

澄んだ心と瞳の持ち主。


だから。少し。

少しだけ信じてみよう。


「あたし、あたしの、名前は

アヤメ。椿綾芽なんだ。」

馬鹿だよね。あたしって。

信じると言うことに、

まだ後悔しているのに。


また、他の人を信じようとしている。

ホントに、馬鹿だ。


「へぇ。アヤメって言うんだ。

つばきって名字だったんだ?」


「よし、じゃあこれから

アヤメって呼べば良いんだな?」

まるで、気にしていない。

むしろ、聞いていたんだろうか、

と思うほど素っ気ない言葉だった。


でも、2人の言葉は、

体の芯まで冷えきっていた

あたしには勿体ないくらい

暖かかった。