行きたい場所なんて無い。
ただ、ここから離れたい。
適当に切符のボタンを押して、
切符を取り、改札口を通った。
適当に電車に乗って、
初めて切符の行き先を見た。
……どこ、これ。
まぁいいや。
もういいや。
どうでもいいや。
ポタポタと、髪から落ちる雫。
タオルくらい、
持っておけば良かった。
窓から外を眺める。
雨は、止もうともしない。
何なの。何でなの。
何であたしがこんな目に
合わなくちゃいけないの。
あたし、何か悪いことしたっけ。
何もしてない。
『幸せになって!!』
空っぽの頭の中をよぎるのは、
笑って手を振っているマリ。
「………もう、無理だよ。」
幸せになんて、なれない。


