結構校舎を歩いて、
ようやく立ち止まったのは
使われていない視聴覚室だった。
「……?どうしたの?」
明らかにその子は
いつもと雰囲気が違っていた。
「………ねぇ、アヤメ。
アヤメって好きな人いないの?」
え、そんなこと?
あたしは正直拍子抜け。
あんまり暗い表情をしているものだから
何を話すのかと思えば…。
「いないけど…?」
「ホントに?」
「うん。いない。」
何なの。どうしたの?
「アヤメ、友達に嘘つくんだ?」
「……………は?」
何を言い出すんだいきなり。
「あたし、嘘なんてついてないよ。」


