未来へのボール*FALL*


タクシーから降りると、

あたしはまた全速力で走る。


病院の中の、

受付のカウンターで止まる。

カウンターの受付の看護師に

あたしは聞いた。


「……今っ…緊急っ…手術中の…

所を…教えてくださっ…。」

息切れが酷く、言葉にならなかった。


「大丈夫ですか!?

緊急手術中…ですと、

あそこの廊下の突き当たりに

手術室が有りまして。

そこで今手術が行われています。」

あたしは、看護師が丁寧に

手を伸ばした先を見据えた。


……突き当たり。

あそこか。


あたしはその廊下を見付けるや否や、

病院の中ということにも関わらず、

その手術室まで走っていた。


「ハァッ…ッ…ハッ…ハァッ…ッ…ッ。」

たどり着いたそこには誰も居なくて、

ただ大きな扉の上で

手術中の赤いランプが

煌々と光っているだけだった。


手術…まだ、終わらないの?


乱れた息を整えながら、あたしは

ひたすらそのランプの前で待った。


ずっと光っている、その赤いランプが

あたしは怖かった。