「………え?」
ランから、掠れた小さい声が聞こえた。
目を大きくさせ、
驚きを隠せない様子だった。
それはそうだ。
後半の、それも決勝戦なのに。
そんな時に、キャプテンであるあたしが
抜けようとしているのだから。
「本当に、ごめん。
最後の最後の試合なのに…
あたし、行かなきゃいけない。」
あたしは、ただひらすらに
頭を下げ、謝罪するしかなかった。
分かってる。おかしいって。
理由を話せよって。
でも。本当に…頭がからっぽで、
何も考えられなかった。
「………大丈夫。
あたし達に任せて行きなよ。」
聞き慣れた声が聞こえた。
でも、何を言ったのかは
暫く理解出来なかった。
その言葉を言ってくれたのは、
アヤメだった。
「ラル。行っていいよ。」


