オレと子どもの12日間



しばらくすると、その沈黙を立川さんから破った。

「そこ、左に曲がってすぐだから。赤い三角屋根の。」

なんだ。道案内の方か。左の方を見ると、たしかに赤い三角屋根が見えた。

正直、それを見た瞬間、緊張を感じ始めた。俺はやはり、これから、この良く知らない建物に入っていろいろやるらしい。今日はハードな1日になりそうだ。

「うん。わかった。」

「優斗くん。」

「ん?」

「終わる頃には、またここらへんで待ってるから。帰り道、わからないでしょう…?あと、その…がんばってね。」

目線を少しそれしながら言う立川さんに、俺の胸の鼓動は高鳴った。たとえ、その声が声変わり完成した男の声で、見た目が俺であっても!

俺は!この一日やっていける!!幸せだー!!

「任せろーーーー!!!」

俺は、思わず保育園へと駆けだした。