「時間無いからさ、そこに実習ノート置いてあるでしょ。書きながらそれの説明するからなにか質問あったら聞いて。」
「お、おお。」
おもむろにオレンジ色のファイルのページをめくる俺だが、はっきり言っておくぞ。人間っていうのはな!わからないことがありすぎると、わからないことがわからない。そんな時があるんじゃい!
「…なにかあった?」
冷静に立川さんが聞いてくる。さっき思ったことなんか言えるはずがない。なぜなら、俺は所詮、木島 優斗だからだ。どうせ好きな女に逆らえないチキン野郎だよ。悪いか。
「1番上のさ、本日のねらいってどんなこと書けばいいんだよ?」
「それは、その日に学びたいこととか目標。」
それは、わかるんだ。ま、実習っていうくらいだからさ、それくらいの目的意識は必要なんだろうけど。俺は目的も何も…ねえ。
「目標とかないし、って思ってるでしょ?」

