オレと子どもの12日間


「んー。でも、優斗くんの実力知らないからな。ピアノの経験は?」

「ない。だって俺、小学校からずっとサッカー一筋だからな。」

ふうっとため息をついて、立川さんはソファーに座った。
少し考えてから、立ち上がり本棚のところに行き、薄緑と青色の本を持ってきた。

「これ、ちょっと見て。」

立川さんが最初のページを開くとそこには、俺でもいけるかな、ってくらいの簡単そうな楽譜があった。

「この楽譜とかって読める??」

「そこまで無知じゃねえよ。ドレドレドレミファミファミファレミレミレミ…。」

立川さんがほっとした表情になった。

「バイエルの最初あたりなら弾けるかな?!」