オレと子どもの12日間



「むかしむかし、あるところに…」

「ちょっと!!」
「…なんだよ?」

立川さんが近づいてきた。
そして俺の手をつかんだ。

わ、待て、いや、確かにもう9時近いからそろそろ大人な時間だけど。これも、特訓てか?なんちゃって。

俺は一瞬にして壮大な妄想をした、が。

ぐいっ

「いてて…」

絵本の持ち方を変えただけだった。

「いい?片手は絵本の真ん中下の部分を持つ!片手だけで持てるようにね。めくるときは、絵本を持っている人差し指でページを浮かして、持ってない方でめくる。」

その通りにやってみた。

「へー。確かに、めくりやすいな。」

「あと!」

「はい!!」

ぐいっと頭を押された。