「むかしむかし、あるところに…」
「ちょっと!!」
「…なんだよ?」
立川さんが近づいてきた。
そして俺の手をつかんだ。
わ、待て、いや、確かにもう9時近いからそろそろ大人な時間だけど。これも、特訓てか?なんちゃって。
俺は一瞬にして壮大な妄想をした、が。
ぐいっ
「いてて…」
絵本の持ち方を変えただけだった。
「いい?片手は絵本の真ん中下の部分を持つ!片手だけで持てるようにね。めくるときは、絵本を持っている人差し指でページを浮かして、持ってない方でめくる。」
その通りにやってみた。
「へー。確かに、めくりやすいな。」
「あと!」
「はい!!」
ぐいっと頭を押された。

