とある看護学生のはなし。





「運動場なんか来て、どうしたんすか。」





「いや、別に。」





そう言いながらも金田くんが気になって再び運動場に目を向けると、金田くんの視線は再びサッカー部員に向いていて、何となくがっかりした。





やっぱり、もう気持ちは離れてしまっていたのだろうか。





「あ、彼氏さんすか?そう言えば、サッカー部って言ってましたっけ?」





「ううん。何でもない。」




少し胸に痛みを抱えながら俯くと、明るい声が聞こえてきた。




「なっつみ先輩!お疲れ様でーす!あれ、鈴木いたの?」




真理亜ちゃんだった。




真理亜ちゃんは水泳部だとは思えないほど色白で、華奢で、塩素で色素の抜けたくりくりのくせ毛を胸のあたりまで伸ばしていて可愛い。




どこの天使だろうかと見紛うほど可愛らしいのに、泳ぐのはとても速い。




平泳ぎでジュニアオリンピックに出たこともあるらしい。




それは、鈴木くんにも共通しているのだけれど。