とある看護学生のはなし。





リレーが終わり、みんな自分のクラスのテントへ帰っていく。




テントに帰っても金田くんが見当たらない。




「金田くんは?」




わたしはテントにいた瑞月ちゃんに尋ねてみたが、まだ戻ってきていないようだった。




不思議に思ったけど喉の渇いていたわたしは水を飲みに運動場の片隅にあるウォータークーラーへ向かった。




すると、ウォータークーラーの横で青の鉢巻をした胡坐をかいている金田くんが見えた。




「あの…」




何て声をかければいいのか分からず、言葉が宙に消えてしまう。




「ごめん。2位だった。カッコ悪くてごめん。」




そう悔しそうにこぼす金田くんは何だか小さく見えて、思わず口から言葉が出てきた。




「カッコ良かったよ。ほんとに足速いんだね。もうちょっとで陸上部のエース抜けそうだったよ!」




「でも、抜けなかった。」




「でも、抜けそうだったよ!」