「位置について、用意」
バン!
ピストルの音に合わせて第1走者が走り出す。
青団は6人中5位。
良いスタートとは言えない。
バトンは次々に渡っていき、私に辿り着く頃4位になっていた。
「夏実、走れーっ!」
リレーを外から応援していた瑞月ちゃんの応援の声が聞こえる。
わたしは、走った。
金田くんのところへ、一目散に。
最後の頑張りで赤色の鉢巻をした女の子を1人抜いた。
金田くんへあと一歩、というところで金田くんの声が耳に入る。
「夏実っ!」
松川と呼ばれ馴れた金田くんから名前を呼ばれ、目を丸くした。
バトンを渡すと、いつもみたいに金田くんがくしゃっと笑って走って行った。
