とある看護学生のはなし。





夏の終わり、水泳部に勧誘された。




「ねえ、夏実泳ぐの速いから、水泳部入ってみない?」




いつも一緒に3人でいるけれど、たまたま彩花ちゃんがいない時に瑞月ちゃんが言った一言に心が揺れた。




挫折したあとのわたしは、出来ないことに挑戦するのが嫌になっていた。




褒められると、悪い気はしなかった。




スイミングで10年間泳いでいたし、自信もあった。




「入ろっかな。」




わたしは水泳部の部員になった。




タイムは伸びるし、練習で怒られることはあまり無かった。




のびのびと一人で泳ぐのは好きだった。




空を見上げながらプールで仰向けに浮いていると、思う。




「わたし、やっぱり看護師になりたい。」