後ろから
今度は男の声がした






見ると
こっちは少し年上で
スーツに身を纏った
ホストのような男が
車椅子を手に
立っていた










「歩いたらダメだろ?」






男はアスファルトに
車椅子を広げると
亮たちのいる砂浜へと
入ってきた







「全然大丈夫だよ。
ヒロ兄心配しすぎなの」






葉月と呼ばれたその女は
少し唇を尖らせて
小さな子供のように
ふくれてみせた







ヒロ兄と呼ばれた男は
葉月の前にしゃがむと
強引に葉月の右腕を掴んだ