「何してたんですか?」






女は再び問いた









「別に何も

むしろ
何もしたくないからここに来るんです」







亮は海へと視線を向けながら
答えた















「一緒だ」









女は砂浜に
腰を下ろすと小さく笑って言った











「海って
全て綺麗にしてくれる気がしません?

心の嫌なものトカ全部
海が洗い流してくれる感じ」











目を閉じると
女は黙って波の音に
耳を澄ました








「分かります
それ」








一緒になって
亮も波の音を聞いた






































「葉月!」