ザーーーン



ザーーーン















風にのってくる
潮の匂いが
心地良かった






気分がのらない日は
決まって亮は海に来る





当然夢に見た海ではないが






あいにく
今日は曇っていて
空色は悪いが

それよりも
亮が癒されるのは
この潮の匂いだった





どこか
懐かしさを覚えていた

























気付けば
もう昼前だった












「帰るか…」






そう呟き
腰を上げると

















「お一人ですか?」






若い女の声がした