『男がいなくて淋しいからって、渡辺さんとあんなことしないでよ!
奥さんも子どももいる人なんだから』


『え…?何?』


史歩は、一瞬キョトンとした顔をした。

そして、ケラケラと笑い出した。


『あれ、嫌だ。なぜ知ってるの?
でも、お互いそうしたかったんだから、いいじゃない?他人がとやかくいうことじゃないと思うけど?
渡辺さんと寝たの一度きりだし。
もうやめたの』


『……!』


……寝たの一度きりって…

怒りが込み上げ、すずは史歩を睨みつけた。


『史歩、あんた最低の女よ!』


サッと史歩の顔色が赤く染まった。


『はあ?すず、あんた何エラそうに言ってんの?』


ドン!と思い切り、自分のヴィトンのショルダーバッグをテーブルに叩き付ける。

『私が最低の女だって?
あんたに私のこと責める権利、あるわけ?』


史歩の剣幕にすずは怯んだ。


『すず、あんた昔、川霧と私のこと皆に言いふらしたでしょ!
あんた達だって同じことしてたくせに!おかげで私がどんな目にあったか、わかってんのかよ!』


『…なんのこと…?』


すずは、史歩から視線をそらした。