朝から珍しく勇希からメールが届いた。


[おはよう。昨夜から熱が出たよ。
今日は会社休むよ]


[大丈夫?
帰りにそっちに行って看病しようか?]


出勤前のすずが慌ただしく返信すると、すぐに勇希からメールが来た。


[移っちゃうから、いい。
寝てれば治る。近くにコンビニあるし]



結局、勇希は木曜と金曜の二日間、会社を休んだ。


『久しぶりに39度も出たよ』

金曜の夜、勇希は電話口で言った。


『でも、もう熱は下がったし、大丈夫だから明日はうちに来てよ』と言う。


「本当に大丈夫なの?」
と訊くすずに勇希は言った。


『…すずに逢いたいんだ、どうしても』




土曜日の午前9時。

すずは勇希の部屋に着く前にスーパーに寄り、うどんや葱、卵、蒲鉾を買ってきた。

勇希が昼食にうどんが食べたいと言ったからだ。


一人暮らしをする者は口を揃えて
病気の時が一番困る、と言う。


ずっと実家暮しのすずは、風邪を引いて寝こめば、母親が面倒見てくれる。


勇希は余りご飯でおじやを作り、二日間ずっとそれを食べていたと言う。