夕暮れの道を史歩と歩きながら、すずは勇希にメールを打つ。


[お疲れ様!仕事終わりました。
勇希は残業?
急にラウンジの子と飲みに行くことになっちゃった。
明日は、お昼前にそっちに行くね。]



「ねえ〜すず、横浜まで出ない?」


すずがスマホをバッグにしまっていると、史歩が媚びるように言った。


(いやだ、面倒臭い…)

「明日、早く出掛けるから、近くがいいな」


すずは、進行方向にある居酒屋の赤い看板を指差した。


「あそこにしようよ!」


その店は、会社の最寄り駅のロータリーの前にあるチェーンの居酒屋だった。



「喫煙席、お願いね」

居酒屋に入ると史歩は、すぐに案内の店員に言った。


(えっ…?何、勝手に…)


史歩が断りもなく、喫煙席を願い出たことにすずは不快感を持った。


すずと史歩は喫煙席に案内され、4人がけの席に向かい合わせに座る。


午後6時前で、店内は空席が目立つ。

席につくと、史歩は待ち切れないかのようにバッグから煙草を取り出し、ライターで火を付け、煙草を吸い始めた。