すずらんとナイフ




三月下旬になり、春休みに入るとラウンジは再び忙しい時期を迎えた。

コンパニオンが増員され、常に20名ほどが招集された。




宮古島から帰ってきたばかりのすずは、幸せ絶頂、ラブラブオーラ全開だった。


宮古島では、晴天にめぐまれた。

紺碧の海と白い砂浜はパラダイスと呼ぶのに相応しい光景だった。


どこへ行くのにもすずと勇希は手を繋いだり、腕を組んで歩き、片時も離れることがなかった。


レンタカーを借り、島のあちこちをドライブした。

東平安名崎では見渡す一面に純白のテッポウユリが咲き乱れ、夢のような美しい光景が広がっていた。


写真を撮るのが好きな勇希は一眼レフのカメラを持ち、ユリの中にすずを立たせ、何枚も写真を撮った。


池間大橋では、あまりの海の透明度に、橋の上から熱帯魚をみることが出来た。


水はまだ冷たかったけれど、南国の絵葉書のような美しいプライベートビーチで勇希と水着で戯れた。


ホテルの前庭の芝生でパターゴルフを楽しみ、夜はホテルのバーで甘いカクテルで乾杯した。