「田村、この資料を今日中にまとめてほしいんだが」

「え、僕がですか?」


田村は気まずそうな顔をした。彼女と約束があるのだろう。

普通の資料作成なら定時までに終わると思うけど、主任が持ってきた仕事だから……“普通”なわけがない。


「主任、私がやりますよ」


どうせ定時で終わって家に帰っても、今夜もやけ酒を呑んでしまいそうだ。
それならいっそ……と思ったけれど。


「高畑はこっち」

「え?」


コトンとデスクに置かれたのは市販の風邪薬。