そう言いながら扉に向かい
手をひらひら。
…もうちょっとだ。頑張れおれ。
痛い痛い痛い。
そんな可哀想なおれを
止める人物がいた。
止めるのはだいたい一人しか
居ない。
「咲夜くん!用事ってなに?」
ランだね。
…もうヤメテ。本当にヤメテ。
早く出て行かせて。
仕方ない。これは出来れば
やりたくないけど、最終手段だ。
扉に向けていた無表情を無理やり
笑顔にかえる。
そしてランと目を合わせる。
殴られた箇所はもう腫れてきてると
思うから半分だけ顔を向けた。
さぁ、美しく微笑んで~?
頑張って~?痛さに耐えて~?
指を口元に持っていき、
「ひ・み・つ♪」
見たか、おれの必殺技。
ランはみるみる内に顔を赤く
染めていく。
ついでに、少女たちも真っ赤。
生徒会は硬直。
まぁ、おれよりイケメンな人たちには
効かなかったのだろう。
…だから嫌だったんだけど…
おれが超恥ずかしいじゃん。
スベった芸人みたいじゃん。
まぁ、いまは
そんなことより早く出て行こう。
…ガチャ
「じゃね♪」
…バン
屋上から出た途端
崩れ落ちるおれ。情けないな…
なんか悲しくなってきた。
「…はぁぁあ~…
なんで、おれが殴られるの…?…痛い」
もう喋るのも痛い。
これは誰かに助けてもらおう。
「…達也~、…保健室に連れてって。」
不機嫌な顔をして階段のところから
出てくる達也。
「なんで、気づかれんだよ…って!」
さっきまで不機嫌だった顔が
おれの顔を見て驚きの表情に変わる。
…なんだ?
あ、腫れてるからか?
でも、そんなにヒドイのだろうか?
「お前…なんだよその顔…?
そういえばさっきも殴られたって…」
驚いたと思ったら顔を青くしていく達也
「…そんなにヒドイ顔してる?」
「…だって、その顔は…ヤバイぞ…。
とにかく、保健室に行こう。」
…なんだヤバイって…
まぁ、とにかくヤバイらしいおれは
保健室に連れて行かれる形となった。
保健室にいく間、生徒達が
おれを驚愕の表情や顔を青くして
見ていたのは気にしないことにする。