そう思い席を立とうとした時に、
あいつが部屋を出るまえに言い残した
言葉を思い出した。
…俺のためだけに…。
正直言って、俺のためだけ…というのは
少ない。
だいたいはルリと一緒にされる感じ
だった。
誕生日だって一緒で、プレゼントも
同じものが多かった。
俺のため…ではなく、俺たちのため。
が多かったのだ。
ランからのプレゼントも俺たち、
に対してだった。
別にそんなの気にしていなかったのだが、
あいつの言葉を聞いて、少し嬉しく
感じている自分がいた。
テーブルに置いてある多すぎる量の
朝食を見つめる。
…別にあいつの料理が食べたい訳
じゃないから。
ただ、残したらもったいないと思ったから
であって、
別に食べたい訳ではない。
心の中で変な言い訳をして
椅子に座り直す。
「…いただきます」
箸を手に取り、味噌汁に手を付ける。
「…ふつー?にうまい?」
あいつが作った料理だからもっと
マズイかと思ったのだけど、
意外とイケる。
ランのようにプロ級のうまさ。
と言うわけではないけれど、
何故か心に染みる美味しさがある。
なんてーか、、お母さんの味?
いや、お母さんの料理なんか食べた事は
ないけれど
こういうのがお母さんの味っていうのか
と、納得してしまった。
