「…やっぱり」

「だってココ、空調カンペキじゃん」





さっきの声の主がこの部屋に入ってくると。

ヤツはいつもと変わらない顔で話し出す。





「…一美センセー、暑い?」

「えッ!?」

「顔、赤い」





指摘された顔の赤みは暑さのせいじゃない。

ヤツのせいだ。





「…あと2.5センチだったから」






言葉と一緒に一瞬だけ見せた顔は。

さっき見た意地悪そうな顔。

その顔に。

また心臓がドキッと跳ねた。





…もう、どうかしてるよ。

相手は制服着てる“生徒”なのに。





「なんだよ、2.5センチって」

「教えね」

「なんだよ、エロいな」

「お前じゃねぇんだ。なんでもエロにすんな」





どうかしちゃってる。

でも。

このドキドキは治まりそうにもない。

どうやら私は。

ヤツの罠にかかってしまったらしい。





そんな私に。

意地悪そうに口角を上げたヤツが耳元で小さく囁いた。





「一美センセー、俺と恋愛する?」








【END…?】