「年上、年上って言うケドさ。
恋愛すんのに年なんてカンケーあんの?」





そう言ったヤツの声はいつもと変わらないようで。

なんだか違うようで。

ほんの少し感じた違和感に。

小さく心臓が跳ねた。





「…そりゃあ年下より落ち着いてるし、安定感あるじゃない?」

「今まで付き合ってきたヤツにそれ、あった?」

「…ノーコメント。だからこれから…」





“これからそんな人を探す”

そう言葉を続けようとしたその時。





「…もう、無理。ガマンならねぇ」





いきなり変わった私を取り巻く空気。

耳元で聞こえるヤツの声。

背中に感じる自分より少し高い体温。

ワイシャツの袖を捲ってある腕が、私をフワリと包み込んだ。









ココはヤツの腕の中。





それに気付くには。

そう時間はかからなかった。