そういえば座席表でちゃんと確認したはずだった。現国と古典は隣同士の机だと。


あまりに見つけられなかったから失念していたようだ。


「こちら大吾。古典も見つけた。俺の役割は一応終了」


“おぉ、早いね。お疲れさま。他のヒトのも手伝ってあげて”


「了解」


指令班の啓一から労いの言葉をもらうと、周辺を見回す。



同じ机の列に、アリサを見付けた。


「手伝おうか」

「…目障り」



……。


あァ、そうかい。
手伝うな、とは言われてないしな。



「教科は?」

「日本史と世界史」

「ふぅん」



勝手に探すことにしよう。


確か、世界史は岡田先生で、日本史は山北先生だな(要らない情報かもしれないが、どちらもオッサンだ)。



「オカダ…ヤマキタ…」


机の上のプレートを照らしながら、捜索する。



「いらないお世話なんだけど」


「一緒に探した方が効率的だろ。この列だよな。俺は向こうから探す」


「いいっつってるでしょ。耳悪いの?バカなの?死ぬの?」


「お前なァ、なんでそんな俺にばっかり突っかかるんだよ」






暗闇の中で、アリサが俺をにらんだ。


「な、なんだよ」


「……」


ホントに今日のアリサ、何か変じゃないか?



ザザザッ。

と、無線機に通信が入る。


“こ、こちらユウキですっ。ユウ先輩、何か変です!”


なんだか慌てた声だ。



「どうした、波多野」

ユウ先輩が応答する。



“な、なんか警備の人が…8人くらい出てきます!”


「ウソォッ!?」


直紀の声が暗い教室に響いた。


啓一の拝借したシフト表によれば、警備は2人ずつだったはずなのに。



“確認しました。確かに8人。警備室から出てきてます”


“ウソだろ?まだ休憩終わるまで5分近くあるのに”


啓一の報告に、進も不安の色を隠せない。



“あたしが見た感じだと、なんだか忙しそうというか、深刻そうというか…”



「しまった…」



ユウ先輩が呟いた。


「学校と思って油断したんだ…可能性として考えるべきだった…!」



あの、ユウ先輩?



暗闇の中、俺の顔を見て先輩が声をあげる。



「監視カメラだ!!」



『えぇっ!?』

実動班、驚愕の事実。