「よし、決行はテスト2日前だ。具体的な計画はこれから練っていくぞ。準備もたくさんある」



語気を強めて、ユウ先輩が黒板をバンっと叩いた。



「たまには楽して点取るのもいいかな。進はどうする?」


「ジョーダン。ちゃんと自力でやるに決まってるだろ」


啓一と違って、進はやっぱり真面目だ。頭が下がるよ。


「俺たちは…?」

「どうしような…」

「成績的にも、完全に安全圏ってわけじゃあないんだよなァ」



「オマエラはちゃんと勉強しろ。クラスのヒロイン助ける使命があるなら別だが」


3兄弟の相談を、ピシャリと切り捨てる進。


「新立の言う通りだぞ。怠けたって良いことはないからな。それに、問題用紙奪還が失敗したときの為に、ちゃんと勉強はしておいたほうがいい」



ユウ先輩がフォローして、俺の方を見た。



「お前もな、日比野」


「分かってます」



ちゃんとした目標が出来た。今回は特例としても、毎回テストを盗むわけにはいかない。



これからは実力で少しでも前の席に座って、東條さんに近付かなければならないんだ。石川の魔の手から東條さんを守るためにも。



「うー?今日の大吾先輩、なんかカッコいいです」


「…ユウキ、熱でもあるのか?」



後輩たちの失礼な会話はひとまず無視して、とにかく俺は俺の仕事をするぞ。



バラ色の高校生活を送るための、このミッションが第一歩目だ!



「…なァ悠一、ミッション中3年の問題見つけたら」

「無視だ」


「やっぱり…」



フム…タケシ先輩にとっては、このテストまでの期間自体が重要ミッションのようだな。