「東條さん」



まだ座る席を決めあぐねている、困惑気味の東條さんに話しかける。



ぴくっと肩を震わせて、東條さんが俺を見る。



自然にこぼれた笑顔に乗せて、言葉を届ける。



「ありがとう」







東條さんは、一瞬驚いたような表情を見せて、



ふっと微笑んだ。



そのままトコトコとこちらの雀卓へ。



そして、
ちょっと恥ずかしそうに─



ちょっと嬉しそうに─



ちょこんと座った。







俺の隣に。


fin.