時計台の前で
5分ほど待っていたら

先輩が来た。



乱れた髪に
腫れた目元



「…あの、」
「華、一緒に逃げよう?」

先輩は
驚くような言葉で

アタシの言葉を覆った。



アタシは首を横に振り
話し出した。



「ごめんなさい。
それは…無理です
先輩、アタシ達
別れましょう。」


先輩は固まったまま
その言葉に
反対する声を発した

「嫌だ、華がいないと
俺…無理だよ」


「優しくしてくれて
好きになってくれて
感謝しています。
でもアタシは先輩を
好きになれない……」

先輩はアタシの腕を
掴むと
「それでもいい」と
すがった。



「ごめんなさい。
でも、監禁されて
殴られて、すごく…怖かった。
アタシには
そんな変形した愛情
いらないです」