ママが寝室に入って 数時間たつと 私は携帯を握り 静かに家を出た。 まだ、縫った傷は 痛むけど 気にしなかった。 そして電話をかけた。 そう。先輩に… 『…もし、もし…?』 「……時計台で 待ってます。 来てください」 冷静なアタシの声とは 裏腹に、先輩は 泣いていたのか 鼻声だった… 電話を切り 空を見上げた。 真っ直ぐな空色が 広がっていたんだ。 その空色は 人形のような アタシの心も 動かす空色だった。