先輩が
何もしなくなると

床に無残に散らばった
衣類をかき集めて
身につけた。


「……華、どこにも
行くなよ」

背中を向けて
テレビをながめていた
先輩がつぶやいた。





いや、声を
振り絞って言ったのかも
しれない。




アタシは何も
答えなかった。




答えられなかった。






まるで人形みたいに
声が出なかった。



嫌なら嫌と言えるのに
必要とされてる気が
してしまって


少しだけ心地よかった




アタシは必要に
されているんだよね。




求められているんだ