馬鹿と煙

「これ、やんなきゃ始まらないよ」





「始まんなくていいですから」






嫌々顔のナナは、気持ちほんの少し傾けたショットグラスを強引にぶつけた。





喉が熱い。





正直、美味いなんてちっとも思わない。





酒の味なんか対してわからない。





けれど、身体が火照る感覚と、目の前がぐるぐる回る感覚が






あたしはたまらなく好きなのだ。










「テキーラちゃん、大好き!メキシカンと付き合おうかな」






「タコスしかわかんない!」








ナナは、けらけらと乾いた笑い声を店内に響かせる。





あたしも釣られて笑う。






テキーラを五杯、
ナナには、三杯飲ませ




いい感じに、ナナの下まぶたが黒く滲んできた。









酔っ払って、瞳が潤んで、アイメイクがヨレた女性は、セクシーだと思う。






しとやかに酔ってる場合のみだけど。