馬鹿と煙

「‥ナナ、あんた、たまには付き合いなよ」





「なにが?」





「テキーラ、ショットで、ふたつ」







「ちょっと、やめてよ、なに勝手に頼んでんのよ。信じらんない。無理だから、飲めないから。飲まないから。」








信じらんない、はナナの口癖だと思う。






それとも、あたしが信じられない行為をよくやらかしてるだけなんだろうか。






「呼び出したのあんたでしょ、それよりどうなの、そっちは。同い年のダーリン。」






「あっちが早生まれだからナナのが一個上。タクミは、22。うまくいってるよ、タクミ、こないだ、カットまかされてた。」






「へぇ、それって、凄いんじゃないの?」




「凄いよ、ナナなんか、相変わらずシャンプーシャンプーシャンプーシャンプー。」





「いいじゃない、楽で」





「まあね」













そう言って、サラミをパクパクと口へ放り込みながら、頷く。






ナナの、充実した日々を聞いてたら
無性に酔っ払いたくなった。













酔って酔って、なあんにも考えたくなくなった。