何もかも、
黄金色に染め上げて、
あたしはその、
黄金色の空気の中で、
舞い上がっていた。
少しの風にも身体を揺らし、
君の前で、
頭を垂れる。
あたしの想いは、
ずっしりと、
大粒の葡萄の房より
重みを増して、
そのくせ、
小さな風にも、
こげ茶色の椎の葉よりも震えるの。
季節がが流れて、
薄くなった景色の中で、
段々あたしは気付いてしまった。
君が、
手を伸ばし、
口に含むことのなかった果実のこと。
それは決して・・・・・
あたしの想い。
熟し切った果実。
果実はふくらんで、
重みに耐えかねた。
ほころび始めた
その皮は、
小さな音をたてて、
裂けていく。
滴る果汁。
君の唇以外、
受け止めることはできないのに。
散らばる想い。
一滴くらい、
君の頬をかすめたかしら。
あたしは、
秋に、
思い知らされた。