「大久保さん、点滴を代えますよ。」 時間を空けずに看護師がやってくる。 監視の目が向けられていた。 「…看護師さん、両親…どこに居ますか?」 看護師が来る度毎回、しつこく聞いた。聞かなくては、イケない事だった。 「大久保さん、落ち着いて下さい。今は、自分の身体の事を考えていて下さい。」 護師は、答えを今回もくれず下がっていく。 記憶を遡(さかのぼ)り整理する必要がある。 最後の記憶は、赤…そう、血の赤と鋭い痛み。 叫んだのは、母親。