窘めるよう名前を呼ぶと馬鹿にしたような笑いが微かに漏れ聞こえた。


「お前は、優しいな…。」


「翔さま、後見人とはどんな存在か解っていらっしゃいますよね?」


 声を掛けた。


「やっと手に入れたんだ。あの婚約パーティーの日に俺の目に留(と)まったのが哀れだと思うしかない。」


 嗤う主にもう何も伝わらないと悟り静かに車を発進させる。


「どんな顔で謝ってくるか楽しみだな。」


 今から逢う紫乃婚約者の父親の事を考えて嗤う。